産科医療補償制度
産科医療補償制度は、出産の際、予期せぬ事態により重度の脳性麻痺となった子とそのご家族の経済的負担を速やかに補償し、紛争の防止や産科医療の質の向上を図るための制度です。公益財団法人日本医療機能評価機構が運営しています。
産科医療補償制度の仕組みは以下のとおりです
1.補償の内容
制度の基準を満たして認定されると、総額3000万円の補償金が支払われます。
- 準備一時金: 600万円(看護・介護のための準備資金)
- 補償分割金: 2400万円(年間120万円×20年間、20歳頃まで支給)
- 医療機関(医師や助産師など)に過失がなかった場合でも、要件を満たしていれば補償の対象となります。
2.支給基準
以下の要件に当てはまる場合に補償対象となります。
- 出生時の週数: 妊娠28週以上で生まれたこと(※出生日によって一部基準の変遷があります)
- 重症度: 身体障害者障害程度等級の1級または2級相当の脳性麻痺であること
- 外在的要因であること: 先天性や新生児期の要因によるものではないこと、生後6か月未満で亡くなっていないことなど
3.原因分析と再発防止
補償対象となった事例について、原因調査が行われます。結果は、病院と保護者に送られるとともに同様の事故を防ぐための再発防止策が医療現場へ報告され、産科医療全体の質向上に役立てられています。
4.費用と加入方法
- 加入: 全国の分娩機関(病院・診療所・助産所)が加入しています。
- 掛金: お産1件につき1万2000円(※出生時期により金額が異なる場合があります)。分娩機関が保険料を支払いますが、実質的には出産育児一時金などに掛金相当額が上乗せして支給されるため、妊産婦が自己負担で別途支払うものではありません。
5.申請について
- 申請期間: お子様の満1歳の誕生日から満5歳の誕生日までの間に手続きを行う必要があります。
- 加入している分娩機関から交付される「登録証」が手続の際に必要となるため、出産後も大切に保管する必要があります。
6.補償金と損害賠償請求権の差異
補償金は、病院の過失の有無に関わらず、支払われます。病院に過失がある場合、補償金とは別に損害賠償請求をすることができます。損害賠償金の額は、介護の要否や諸事情を考慮して、1億円から3億円程度となるのが通常です。産科補償金は、あくまでも病院が無過失の場合の最低限の補償であり、病院に過失がある場合は、別途損害賠償金を請求しなければなりません。この場合、過失の立証と適正な賠償額の算定のため、弁護士が力を尽くします。


